エビデンスベイスト:情報の「信頼度」

 

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エビデンスベイスド(根拠の基準)とは

 

 

エビデンスベイスド(Evidence Based)とは、「エビデンス・ベイスト・プラクティス入門」を参考に「実験データ」や「症例」など証拠となる【具体的な根拠(Evidence)】に基づく「理論」や「議論の構築」のことです。

 

例えば、日常的にエビデンス(根拠)を元に処方しているのが「医療」で、「医療」はエビデンスを最も重要視している学問の一つでもあります。

 

つまり、データとは「バイアス」や「個人の主観や経験」を省き、統計学や分析により「多くの人に当てはまるのではないか」とデザインされた実験から得られる根拠(エビデンス)は「真理を追究」するときに非常に重要です。

 

データを事例と混合してしまうことが多いので注意しましょう

 

 

1.「系統的レビュー(メタ分析)」

 

 

「系統的レビュー(メタ分析)」

系統的レビュー(メタ分析)とは、過去に行われた実験のデータを収集して

  1. 実験デザインのチェック
  2. 信頼できるデータかどうかの選別
  3. 選別したデータの重み付け

この収集するデータは「多い」だけではいまいち信用具合が欠けますが、しかし「少ないよりかは多い」に越したことはありません。

 

系統的レビューはメタ分析(メタアナリシス)とも呼ばれ、根拠に基づく医療において「最も質の高い根拠」とされています。

 

 

2.「ランダム化比較試験(RCT)」

 

 

ランダム化比較試験(RCT)とは、「薬やサプリ」などでよくみられる定番中の定番な実験法で信頼度は高い。

  1. 被験者をランダムに分ける
  2. Aグループに効果を調査したい薬やサプリを服用してもらう
  3. Bグループにはプラセボ(偽薬、効果の無いもの)を服用してもらう

これに

  • ランダム化された比較試験の数が多い
  • 実験の被験者が多い
  • 実験期間が長い

これらが加わるとさらに実験の精度は上昇します。

 

ランダム化比較試験(RCT)では、「そもそも効果があるか」、「どの程度の効果量なのか」などを調査し、被験者に本物かプラセボかを伝えずに行うとより実験の精度が高くなりますが、他の実験との食い違いが起こる場合もあります

 

 「ランダム化比較試験(RCT)」の中でも、PICO(どんな患者に、どんな介入があると、何と比較して、どんな結果になるのか)がしっかり設定されているほど研究の精度は高くなりますが、系統的レビューで否定されちゃう場合も多いので要注意

 

PICOの例

P(対象) 例:学生が

I(介入)   例:立って授業を受けるのは

C(比較) 例:座ったまま授業を受けるのと比べて

O(結果) 例:学習の精度(集中力、記憶力、積極性など)にどんな影響があるのか?

 

ランダム化比較試験(RCT)の重要なポイント

1.サンプルサイズの検討:例、47都道府県からそれぞれ1000人(計47000人)の被験者を対象にする。

 

2.有意水準:一般的には水準は0.05(5%)や0.01(1%)が使われることが多い。

「0.05(5%)に設定したとすると、5/100回以下で起こりうることになり、100回の内5回も起こったら偶然ではないことにしよう」という意味で、言い換えると「珍しいことが起こった」あるいは「何かしら意味があることである(有意である)」ということを表します。

 

3.検出力:実際に有意さが示されたとき、それを正しく検出できる統計的な力のことです。

0.8(80%)か0.9(90%)に設定すれば問題なく、それぞれ統計的に80%と90%で正しく検出できるという意味になります。

 

4.効果量:「どれくらい効果があるか」の設定。

実験前から「〇〇くらいの効果量があるのではないか?」と仮説を立て、対立仮説(帰無仮説が棄却されたときに採択される仮説のこと)が採択されれば「〇〇くらいに伴う効果があった」と推定され、逆に帰無仮説(差がない,効果がない)が採択されれば「効果量が〇〇ほどなかった」と推定される。

 

5.アウトカムの設定:「何をもって効果があったとするか」の設定。


6.統制群:統制群とは、何も介入を設けない、比較のためのグループのこと。

 

7.ランダム化:バイアス(主観)を無くして、サイコロの数字や乱数表で「規則性を作らないこと」です。

  • 層化:「年齢」や「男性と女性」、「軽度~重度」などの結果に大きな影響を与えるような変数をあらかじめ分けておくこと。
  • クラスターランダム化:病院や学校、職業や施設ごとなどに分けること。
  • ブロックランダム化:群をブロック単位にランダムに割り当てます(2群なら4ブロックと整数倍のブロックが必要)。

 

8.その他

  • ホーソン効果:治療や観察されることで行動の変化が生じて、結果的に病気が良くなる(良くなったように感じる)現象のこと。
  • 汚染:被験者が実験の意図を勝手にくみ取り、それが結果に影響を与えること。
  • ベースライン測定:実験前の被験者の状態を測定すること。
  • 盲検化(ブラインド化、マスキング):被験者にはどのグループ(群)か治療法かは分からないようにする(マスキング)ことです。どのような研究でも結果に対してバイアス(主観、偏り)がかかる可能性はあります。偶然ではなく、同じ手順や同じ対象で研究するかぎりある程度バイアスに掛かってしまいます。
  • 平均への回帰:測定を重ねることで平均値に近くなるという統計学的現象のこと。

 

 

 

3.「観察研究」

 

 

観察研究とは、研究者が何の介入せずに被験者を長期間にわたって追跡調査を行い、健康・疾病に関するデータを集めて観察する研究方法です。

 

例えば、「タバコって具体的にどんな悪影響を身体に及ぼすの?」を調査するなら

  • タバコを多く吸っている人、たまに吸っている人を集める
  • 全く吸わない人
  • 10年程度観察してタバコを吸っている人に偏りがみられる病気をチェックする

実際、「タバコの害に関するエビデンス」のほとんどは「観察研究」から得られたものです。

 

 

対象に意図的な介入を行わず、被験者の日々の行動など広範な情報を集めて観察するもので、その方法には、

  • 横断研究(断面調査):ある一定期間内のある集団の罹患率や有病率を調査する方法。
  • コホート研究(前向き調査):病気にかかった集団を一定期間追跡して、対象となる病の発生率を比較するこで、要因と疾病発生の関連を調べる観察的研究
  • ケース・コントロール研究(後ろ向き調査):病気にかかった患者の集団を対象に要因を調査し、病気になっていない集団と比較することで、要因と疾病の関連を評価する研究手法。

などの種類があり、

  • 調査した人数が多い
  • 調査した期間が長い
  • 人種や地域、年齢層の幅が広い

が加わると信頼度も高くなります。

 

しかし、不確定要素も多く「ランダム化比較試験(RCT)」よりかは信頼度は低い。

 

 

 

4.「動物実験」や「生体外実験」

 

 

動物実験とは、動物を対象に行われる実験で、人体実験は原則的に許されていないのでマウスなどを使った実験が多い。

 

実験動物を選ぶ考慮の中に「種属特性」と「臓器特性」とがあり、人間に近いサルが望ましいところですが如何せん高価で人間と親近性をもたないので、

  • 費用の点からはネズミ
  • 親近性の点ではイヌ
  • 臓器特性の立場では血液組成についてはブタ
  • 遺伝研究には世代交番の速いハエ

というように、実験目標によって動物の種類が選ばれています。

 

生体外実験とは、ヒトの細胞などを使って行う実験のことです。

 

例えば、「レプチン抵抗性が原因で脳がレプチンに反応しなくなって、食べても腹が空く現象が起こるのはパンにふくまれるグルテンが原因なのでは?(1)」とか、10年くらい前から言われている「穀類がレプチン抵抗性の大きな原因かも」という話(2)とか。

 

 

5.専門家の意見

 

 

専門家と言っても

  1. 最新のエビデンスを確認しているか
  2. 専門家の意見がエビデンスに基づいているか(バイアスに掛かっていないか)
  3. 専門家が引用したエビデンスの質は高いか

などを徹底していないと信頼度はなくなってしまいます。

 

実際、

  • 糖質制限で痩せてるんじゃなくて、糖質を制限したカロリー分痩せてるだけ(1)」
  •  「糖質を増やそうが減らそうがそんなに減量に差はない(2)」

など、「科学的に糖質を制限する意味は特にないよ」という「系統的レビュー(メタ分析)」があるにも関わらず、糖質制限を崇拝する専門家もすくなくありません。

 

なので、「すべての専門家が間違っている」とも思いませんが、「すべて正しいわけではない」ことを肝に銘じておきましょう。

 

 

まとめると

  • 「系統的レビュー(メタ分析)」は論文の中でも質が高く、「ランダム化比較試験(RCT)」や「観察研究」が加わると「科学的にほぼ間違いない」と言ってもいいかも
  • 単体の「ランダム化比較試験(RCT)」や「観察研究」は使えるかも
  • 動物実験」や「生体外実験」のデータで面白いものがあったら試してみよう
  • 「専門家の意見」はエビデンスがいまいちはっきりしない場合が多いどころか、真逆を言っている時もある

 

個人の意見や体験も「偶然」や「バイアス」に掛かって、特に

  • 「〇〇があったから成功した!」
  • 「最初から俺はこのやり方が成功すると分かっていた」

とかは、話を美化しているだけの場合が多いのであまり参考になるとは言いづらいです。